プレミアムフライデーが試行されてから少し時間がたちますが、巷ではあまり機能していないという声が多く聞かれます。その中で小泉進次郎議員がとても面白い話を講演会でされていました。
また、社員の生産性を上げるために「給与の見える化」が効果があるのではと最近のニュースで出始めています。もちろん自分の給与を他人に知られるなんてあまり気持ちの良いことではないので反発も多いと思いますが、実施されている会社ではとても効果が出ているというのです。
小泉進次郎議員が悩んでいるプレミアムフライデーの実施と給与みえる化には何か繋がりがありそうなのですがそれはいったいどのようなことなのでしょうか。分析してみました。
1. 小泉進次郎とプレミアムフライデー
小泉進次郎議員は毎月最終金曜日に仕事を15時に終えて週末を有意義に楽しんでもらうプレミアムフライデーの実施について、多くの企業でうまく機能していないことに苦言を呈していました。そもそも小泉進次郎議員は15時に帰るということ自体に懐疑的だそうで、何時に帰るか自分で決めたらいいというスタンスです。
また何故機能していないかという面白いエピソードを話しています。これは本質をとらえているような気がします。
旗振り役の経済産業省がキャンペーンを進めるにあたって各省庁に協力を求めたところ、返ってきた声は「じゃあ、3時に帰るなら、3時以降は何したらいいかモデルケースを示してください」。と言われた。
「私はね、これは終わってるなと思いましたね。3時以降に何をすればいいか自分で決められない大人たちがいるとしたら、これはもう危ういな、もっとね、そこをしっかり考えなきゃいけない」とあきれかえっていた。
つまり、そもそも省庁を含めた多くの会社では自分で考えて行動するということが出来ていないということです。言われたことしかしてこなかった組織風土がプライベートの部分にまで浸透してきているのは本当に恐ろしいと思います。
2. プレミアムフライデーはなぜうまくいかないのか?
プレミアムフライデー自体が多くの人にただ休んでもらいたいということで作られたものではなく、午後の時間を利用して色々なアクティビティや週末旅行など活発に活動してもらってお金を落としてもらい経済を活性化させようという主旨なはずです。そこで活動の仕方がわかりませんとなると、この施策自体が破綻していることになります。
このことからも、一番欠如しているのは自律性や自主性、また想像力や実行力といったこれまた現在の会社組織で必要だと言われている点だということです。結局、このような事が出来ない人に休みを与えても休む以上のことは出来ないといことなのでしょう。この問題をどのように解決すれば良いのでしょうか?
3. 給与の見える化の効果
ここでForbes JAPANが面白い記事を出しています。それが給与の見える化についての効果です。
これは社内の人たちの給与を他人にもわかるように見える化し、どのように社員の行動が変わるか試みたものです。大方の予想では導入当初、大きな反発を呼び、下手したら周りの人間へのすげさみや妬みなどに発展し兼ねないものと思われていました。
しかし、実際には他人に自分のランクが晒されることで、それぞれが給与ランクの責任を意識し、より高い価値を求めて行動し始めたというのです。つまり、社員自身が自分が貰っている給与に見合った仕事は出来ているのか、新たに昇進するにはどのようなことをやって行かなければならないのかなど、他人に見られていることで自身の行動を振り返れるようになり、その次の行動に移せるようになったということです。
これはもちろん、他人に見られているからやらなければならないという強迫観念的なノルアドレナリンの効果もありますが、時間が経過するときっと自分はもっと良く周りから見られたい、給与以上の仕事が出来ていると思われたいというアドレナリンの効果に寄ってくるのではないでしょうか。
給与を公開しないと出来ないのかと思われるかもしれませんが、自分の行動を自分で考えるということをする良いきっかけになっていると思います。この考えが根底にあって初めて、色々な事が前に進み始めるのだと思います。
4. プレミアムフライデーを機能させるためには?
この給与見える化の効果による自律性の改善はプレミアムフライデーに影響してくるのではと思います。なぜなら自律性が高まった人間は自分の成長に対して何が必要か考えるようになり、その不足している部分を会社以外の場面においても補おうとする動きがあるからです。
簡単に言うと向上心ですが、英語力を高める必要があると思えば英会話に行くし、ほかのビジネスの事を知りたいと思えば異業種交流会に行く訳です。そしてそれらには会社以外の時間が必要になり、まさに15時以降時間があるプレミアムフライデーなどにはそのような自分への投資が出来るようになるのだと思います。
よって給与の見える化のような、他人に自分の相対的な評価価値を晒されると他人からも少なくとも相対価値同等の絶対価値の評価を受けたいものだという心理をつく取り組みこそが不足していることかもしれません。もちろん目的は競争ではなく、自律性や自主性の向上であり、これは出来ない人が多いのではなく、やったことある人が少ないということだけだと思われます。
このような環境を整えることが重要で、決してプレミアムフライデーのような時間を与えることが重要ではないことがわかります。重要なのは時間が欲しいと思わせる環境や状況を作ることです。もしこのようになれば、小泉進次郎議員が言っているように、帰る時間は自分で決めれば良くなるし、会社は自由に帰れるような風土にすることこそが、プレミアムフライデーが目指している経済的循環も働くということになると思います。
この記事のチャナレはこれだ!
・小泉進次郎はプレミアムフライデーには懐疑的
・小泉進次郎は省庁の自律性の無さにこの世の終わりを感じた
・給与の見える化は、他人に良く見られたいという人間の心理をつき、またそこから自律性の向上に繋がっている
・自律性が向上すれば、多くの人は自分の為の時間を確保したくなり、その時間を作ろうとする
・確保した時間に自分を成長させるための投資を行おうとする
・これこそプレミアムフライデーの目的である経済的循環が達成される
・現代社会では自律性や自主性がないと会社だけでなく休みも楽しめない
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