現在の国会議員の中では断トツの人気を誇り、若手のホープとして将来を有望されている小泉進次郎議員。進次郎議員は決して小泉純一郎元総理の息子というセレブポジションでかつイケメンだからということで注目されているのではありません。しっかりと政策提言で多くの国民を惹きつけています。
その進次郎議員の政策提言の中で、今一番注目されているのが農協改革についてでしょう!今まで大きな組織で、また大票田としても魅力的であったため誰も手を付けてこなかった農協に対して進次郎議員がメスを入れようとしています。
しかし、この巨大組織に切り込むにあたっては進次郎議員といえどもてこずっているようなのです。このような大注目の議員がてこずっている農協改革とはどのようなものなのでしょうか?そして今後この改革はどのようになっていくと予想されるのでしょうか?
1. 小泉進次郎の考える農協とはどのような組織か?
小泉進次郎議員が今苦戦しているこの政策を見るためには農協というものがどのような組織か整理する必要があります。
JAとして親しまれている農業協同組合(以下農協)は簡単に説明すると、日本の農業従事者及び農業を生業とする法人によって組織された協同組合です。農協の歴史はかなり古く、ずっと歴史をひも解いていくと江戸時代にまで遡れるそうです。現在は戦後のGHQにおける政策の一環として始まったものが基となっています。
全国の農業従事者数が過去に比べて現在は減っているとはいえ、多くの農家が参加しており、平成24年度の時点で約997万人の組合員がいます。そして農協関連の組織で働く人々は1万人以上いると言われています。
この巨大組織の農協はもちろん色々な事業を実施していますが、食糧供給の為という名目のもと、どの農家にもある程度のお金が入るように、組織による一定価格での農作物の買い取りや流通サポートを実施しています。このように安心して農業に従事できるような環境を作っているという組織です。
単純にこの組織の表面的な情報を見ても、政治家にとってとても魅力的な組織なことがわかります。この組織を味方につけていれば、約1000万票という組織票を取得することができると言っても過言ではありません。そのようなことからも農協というのは政治家にとって常に味方につけておきたい組織だということです。
2. 小泉進次郎の農協改革とは?
小泉進次郎議員はこの農家を守る農協に対して、メスを入れようとしています。そのメスを入れようとしているポイントは「農協の利権」です。
農協は農家に対して、肥料や農業資材を売る流通網をほぼ独占している状態になっています。しかし、現在はITの進化なども含めて農協を通さずに取引なども可能な状態になっていますが、農協はその組織のもつ流通網を開放しようとしません。つまり、農家は現在直接取引を行えば安く手に入る資材であっても、農協という組織にいる以上、高い値段で購入していることになります。
また農作物の流通についても同様で、農作物の基本的な流通網を牛耳っているため農協を通して販売することを余儀なくされていると言っても過言ではありません。そして農協は出荷手数料や農協メンバーとしての手数料など農家の利益に対して合計約10%程度の手数料を取得している状態になっています。この手数料の高さは物流が発展している現在においては異様な高さです。
それが嫌なら農協を辞めればいいのではと思う方もいらっしゃると思います。しかし、ずっと農業だけやってきた農家は農協のサポートなしでは市場にアクセス出来ない状況を作られており、インターネットを駆使したり、独自で資材取引、販路開拓などのノウハウがないと離れられないという現状があります。そのようなことを田舎の高齢者の農家が出来るはずがありませんし、農協は絶対に教えようとはしません。
このようなことから、多くの農家は農協から高い資材を買ったり、多くの手数料を払うことで農業を実施していることになります。つまり昔の農家を守るための農協ではなく、農家から稼ぐ農協へと変わってしまっているのです。このような現状の農協に対して進次郎議員はメスを入れようとしたのです。
3. 小泉進次郎の農協改革は失敗か?
小泉進次郎議員は農協に対して、資材流通網の解放や手数料の値下げを実施するような改革に乗り出しました。つまり、農協がお金を儲けている部分に対して、本来の農協の思想のもとに農家の為になるような方法をとれと求めたと言えます。
しかし、まず農協の本丸である全国農業協同組合連合会(JA全農)は全面的に反対しました。もちろん農協の収入源の大部分を占めるものですから、そう簡単には手放そうとはしません。農協を運営するには必要な収入であるといい、決して手数料の値下げなどには応じられないとしています。
また同様に、多くの国会議員からも反対を表明されています。農協を自分の票田としている議員の多くはこの改革案には反対であり、農協がこのままの農家に影響力のある組織として運営されることを望んでいます。
結果として現段階においても進次郎議員が実現したい改革は進捗が止まっているような状況となっています。またこの状況からマスコミの多くはこの農協改革は失敗に終わると評価し始めました。
この話は農家の人にしか関係ないと思いきや決してそうではありません。様々な形で流通やコミュニケーションが発達した現代の中で、農協が立ちはだかっている為に売値が高く設定せざるおえないような状況が生まれていると言えます。
農作物の分野においては一般的な市場競争の原理が働いていない状態となっており、この農協の状況からみても、農家も消費者も損をしている状態で、この農業関連の巨大なプラットフォームを持つ農協が儲かっています。これが私営企業ならばかなり強いプラットフォームを持つ大成功企業ですが、協同組合のような公的な組織が本当にやるべきことなのでしょうか?そして多くの議員が自分の当選のために、この組織をこのまま残そうとしています。これは本当に日本の為になるのでしょうか?TPPの反対もこのような農協利権を守るためと言っても過言ではありません。
4. 小泉進次郎の目指すアグリテックの導入
このような現状の中で、小泉進次郎議員が目指したい世界の一つが農業全般におけるテクノロジー「アグリテック」を活用した農作物生産消費体制の構築でしょう!
農協などの消費者と生産者の間に入る組織を排除し、農家と生産者だけでなく、肥料などの農業用資材の取引のために農家と農家を直接IoTで繋ぐことで、余計なコストを排除し、最適な形でモノや情報の取引が出来る世界を目指していると思われます。そして様々な形で新たな流通網が発達し、適切な形で市場競争が生まれることになります。
つまり、テクノロジーの進歩と農協の在り方が完全にマッチしていない状態が生まれているということです。上記のアグリテックは今後導入が促進されることは間違いないと思いますので、今後農協が利権にしがみつき、改革を拒めば消費者だけでなく、多くの農家からも離脱解体の声が大きく上がることになるのではないでしょうか。
農協の生きる道はアグリテックを自ら推進し、商品価格に転嫁されるような手数料ビジネスを止め、農協が持つ独自の知識やノウハウを売ったりリースするというビジネスモデルにしかないのではないでしょうか。
正直、農協が今の利益を保持したいという思いは、農協自体が既に組合の枠を超えた大きな企業体であることを考えると100歩譲って理解できるのですが、その農協を票田ということだけで残そうとして国民に不利益を及ぼしている多くの議員には本当に残念ですね!農協のマインドチェンジは大事ですが、そろそろ議員の方も当選が目的になっているその政治マインドを改革してほしいものです。
小泉進次郎についてもっと知りたい方はこのまとめ記事をチェック!
この記事のチャナレはこれだ!
・農協は会員数が約997万人、農協で働く人は1万人以上という超巨大組織
・農協は資材流通や農作物売買における手数料で儲かっている
・農家には今のテクノロジーを活用した取引ノウハウが無く、農協も教える気がない
・小泉進次郎は農協の利益追求体質に対してメスを入れようとした
・農協だけでなく、農協から票をもらっている議員などが多く反対した
・農協改革は農家だけに影響するのではなく、消費者の生活に直結している
・アグリテックを活用できれば、農業関連取引の幅が大きく広がる
・利益を守りたい農協はまだしも、票がほしいだけの国会議員は日本に不利益
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