国連安保理で現在検討させているICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験に対する追加制裁を含んだ非難声明案に対して、世界各国が賛同する中でロシアが拒否しました。これに対しまた北朝鮮への国際社会としての圧力が停滞することが予想され、北朝鮮としては有難い話となる一方、アメリカの単独軍事行動のきっかけにもなりかねない事態となっています。
このような国連安保理における非難声明案の拒否はなぜ起こっているのでしょうか?またその理由や今後の国際社会の反応はどうなるのでしょうか?
目次
1. 国連安保理での北朝鮮に対する追加制裁を求めた非難声明に対するロシアの拒否
現在国連安全保障理事会で先日行われた北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験に対する追加制裁を含めた非難声明案が協議されています。
国連安保理での北朝鮮非難声明案の内容
この北朝鮮非難声明案の内容は、今後新たに北朝鮮が核実験やミサイル発射実験を行った場合、安保理は「追加の重大な措置」を講じると以前に合意していたことを確認し、直ちにその「追加の重大な措置」について作業を進めるということを確認する内容です。
すなわちこの声明案が通れば、北朝鮮に対する国際社会としれの大きな制裁が働くことになります。これには中国も賛成しており実現可能性がとても高く制裁が行われる予定でした。
国連安保理での北朝鮮非難声明案に対するロシアの拒否
この声明案は北朝鮮がICBMの標的としているアメリカが作成したもので、大方の理事国は賛成しましたがロシアの国連大使であるサフロンコフ国連次席大使が異議を唱え、事実上拒否をしました。
その理由としてはアメリカがICBMと言っている北朝鮮が発射実験したミサイルはICBMではなく、IRBM(中距離弾道ミサイル)なのではないかということでした。
北朝鮮が自分たちでICBMと公表し、アメリカも分析の結果ICBMだと判断されたそのミサイルの見解にこの期に及んで異議を唱えたことになります。ロシアはこの事実がしっかり確認できない限り合意はできないとしています。
2. ロシアはなぜアメリカの北朝鮮に対する追加制裁を求める非難声明案を拒否するのか?
ここで気になるのはロシアはなぜ今回のアメリカが作成した非難声明案を拒否するのかということです。理由はやはりICBM(大陸間弾道ミサイル)であるかどうかという点にあります。
つまり、これがICBMと認めてしまった場合、アメリカが事実上北朝鮮の脅威に晒されていると認めることになり、東アジア諸国に配置しようとしているTHAADなどのミサイル配備に正当性も持たせてしまうことになるからです。
アメリカはあくまでも北朝鮮に対する防衛策という大義名分のもとで配備しようとしますが、事実上ロシアも射程圏内に入り脅威に晒されることになります。これはロシアにとって戦略上もちろん好ましくなく、またアメリカにとっては協力なロシア・中国に対する防衛線となるわけです。
よってロシアは北朝鮮のミサイルが中距離弾道であり、アメリカへの脅威にはならないと説明することで、東アジアにおけるアメリカのミサイル配備に対して正当性を持たせないようにしたい意図があると思われます。
3. 今後のアメリカ及び国際社会の動きはどうなるか?
そしてロシアがこの国連安保理の非難声明案に拒否し続けた場合、もちろんロシアは常任理事国であり拒否権を持っているので国連としての追加制裁は実現しなくなります。この事態に発展すれば脅威に晒されることになったアメリカは単独で強硬な手段に出始めるでしょう。
この展開はある種いつものお約束ですが、やはり国連としてやるのかアメリカ単独でやるのかで、国際社会の大義名分が大きく違います。もしアメリカが単独で武力行使などしようものなら、国連として結果的に非難決議ができなかった落ち度はあるにせよ、世界中からアメリカが非難されることになるでしょう。そして世界の世論を味方につけたロシアの発言権が強くなることが予想されます。
もちろんアメリカも北朝鮮政策には特に慎重になっていますが、トランプ大統領のことですからもしかすると単独武力行使に出るかもしれません。それを避けるためにもロシアには国連として何をすべきか再度考えて行動してもらいたいです。まぁ昔からアメリカとロシアの利害の一致など無理な話なのですが(笑)。
この記事のチャナレはこれだ!
・国連安保理での北朝鮮に対する追加制裁を含んだ非難声明がロシアによって拒否された
・ロシアは北朝鮮が発射したのはICBMではなくIRBMだと主張している
・ロシアがICBMと認めた場合、北朝鮮に対するアメリカへの脅威を認めたことになり、東アジアでのミサイル配備に対して大義名分を与えることを懸念している
・ロシアが拒否した場合、アメリカが単独で制裁行動に出る可能性あり
・このいざこざに一番喜んでいるのは間違いなく北朝鮮
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