現在ミサイル発射実験などで、更に世間を賑わしている北朝鮮の金正恩総書記。その金正恩に対して強硬な姿勢を示しているアメリカのトランプ大統領が注目されていますが、もう一つの大国のプーチン大統領率いるロシアとの関係もとても重要な局面になっています。
金正恩の悪行が特に最近目立っている中、ロシアと北朝鮮の関係はどのようなものとなっているのでしょうか。そしてプーチン大統領は北朝鮮との関係をどのようにしていくつもりなのでしょうか?
1. ロシアと北朝鮮の関係
プーチン大統領はかねてから北朝鮮に対しては他の国同様、国連安保理の決議に従って経済制裁などによって厳しく対応してきています。この点だけを見るとロシアの北朝鮮政策については、アメリカなどと同様に足並みを揃えているように見えます。
しかし、実情はロシアが北朝鮮の経済制裁の抜け穴となっていると言われています。それはロシアと中国との関係をもとに考えられる話となります。極東ロシアは中国と国境を接しているのですが、ロシア側の人口が650万人であるのに対し、中国側の人口は1億5000万人と言われています。この人口差により、極東ロシアの人々はいつ中国に乗っ取られてもおかしくないと、恐怖を感じているといいます。
そこで極東ロシアは北朝鮮人を多く密入国させ工場などで働かせており、実際に貴重な労働力としてその土地に取り込んでいるようです。この密入国に関してロシア政府は黙認している状態であり、事実上、ロシア政府がこの手法で中国をけん制していると言えるでしょう。
北朝鮮は多くの労働者を送り込むことで外貨を得ていると予測できます。この方法によって経済制裁を実質的に潜り抜けている状態であり、おそらく物資においてもロシアから融通されているのではという疑いもあります。
このようにロシアと北朝鮮は相互利益によって支えられている状態となっています。しかし、特に金正恩の時代に入ってから関係は悪化している可能性があります。
2. 金正恩はプーチンとの関係を重視していない?
多くの国々から経済制裁を受けている北朝鮮が、現在のように核開発を行うまでの国力が維持出来ているのは、先述したロシアとの関係があったからといえます。しかし、金正恩はロシアとの関係を重視していないとみられる行動に出ています。
それは金正恩が親ロシア派である玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相を処刑したことに発端します。金正恩は独裁権力を強めるために、父親である前総書記の金正日の時代から役職に就いている重鎮を次々に処刑しています。そして、ロシアとの全ての外交窓口であったと言ってよい玄永哲を粛正しました。
恐らく金正恩にとっては、大国ロシアと繋がっている玄永哲を処刑することでロシアからの内外的な干渉を抑えようとしたのかもしれません。金正恩は常に自分を政権の座から引きずり降ろそうとされていると被害妄想にもなっていると言われています。このことで親中派であった張成沢と親ロシア派であった玄永哲を粛正したのは象徴的な話です。
3. プーチンは今の北朝鮮をどう見ている?
この金正恩による玄永哲の粛清劇に対して、プーチン大統領はかなり怒っていると言われています。
玄永哲の粛清の理由のひとつが、北朝鮮の核開発に対して公に反対していることを覆すことができず、また北朝鮮が欲しがっていたロシアの核技術を提供してもらえなかったことだとも言われていますが、今後プーチン大統領が公に北朝鮮を支持することは恐らく無いと予想されます。
もちろんプーチン大統領のことですから、自国のメリットになることは例え敵であっても利用するとは思います。しかし金正男暗殺や弾道ミサイルの発射実験でこれだけ世界的に騒がしている北朝鮮に肩入れすることは、ロシアが大国としての信用を失うことになりかねません。また、中国との関係をうまく維持すれば、北朝鮮を間に噛ませることは特に必要ない状態となっていることからも、今後はばっさり北朝鮮を切る可能性があります。
トランプ大統領が北朝鮮に対してとても積極的に制裁していこうとしており、今のプーチン大統領とトランプ大統領の関係性の良さを考えると、アメリカと手を組んで北朝鮮に本格的に圧力をかけるかもしれません。こういう意味でも、トランプ大統領は現在のプーチン大統領と金正恩との関係をとても注視しているのではないでしょうか。
とにかく、プーチン大統領を怒らしてしまった時点で金正恩には勝ち目がないですよね!プーチン大統領とは違い、冷静になって考えられない性格が目に見えます。目の前の自己保身のために、大局的な流れを変えてしまった金正恩。プーチン大統領と和解する手は果たしてあるのでしょうか。
プーチン大統領についてもっと詳しく知りたい方はこちらのまとめ記事をチェック!
この記事のチャナレはこれだ!
・ロシアは国連安保理決議に従い、他国と同様に北朝鮮に経済制裁をしている
・しかしロシアは北朝鮮を取り込み自国の政策を推進している側面がある
・そのため、北朝鮮はロシアを経済制裁の抜け穴として利用している
・金正恩は親ロシア派でロシアとの窓口であった玄永哲を独裁政権を強めるために粛清した
・プーチン大統領は玄永哲を粛正したことに対しご立腹
・今後はトランプと協力して北朝鮮に圧力をかける可能性がある
・プーチンを怒らした人に未来はない
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